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Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

第44回 種生物学会プレシンポ

先日参加した、44回種生物学会のプレシンポ演者は、九州大学の丸山宗利さん。
(ウェブサイトはこちらhttps://sites.google.com/site/myrmekophilos/

好蟻・好白蟻昆虫の記載研究に関しては間違いなく日本一でしょう。私が時々アルバイトでお世話になっている、九州大学総合博物館にて助教授を務められています。

もっとも衝撃的だったのが、アリノタカラとシズクアリノタカラの絶対共生。女王がアリノタカラを咥えて巣に持ち込むという行動が進化したとなると、本当に神秘的です。
また、興味深いのは、アリの分岐年代推定結果と、好蟻性昆虫の分岐年代とは、マッチしないというもの。アリの出現のほうがだいぶん早いというのは、共生昆虫が実は後から現れたのであり、並行的に種分化が起こったという可能性は低いらしい。つまり、好蟻性昆虫たちは常に絶滅と種分化のバランスの下で現存するようだ。これは、社会性昆虫としてのアリさんが実にロバストな性質を築いてきたのだという事実を裏付けているように思う。

気になったのは「好蟻性昆虫」の定義。アリに直接お世話になるという生活史をもつことで特徴づけられるのはよく理解できたが、それでは「好蟻性昆虫を捕食する昆虫は好蟻性昆虫か」という問題もあろう。実際、オオアリマキヤドリバチというのは、好蟻性昆虫としてのアリマキ(アブラムシ)の捕食寄生者であるようだが、それは好蟻性昆虫といっていいのだろうか。。

とはいえ、定義問題はここではクリティカルではないとも思っている。学術的にも、包括的に好蟻性昆虫という生活史を再帰的に定義するという利便性は非常に高い(言葉の使い分けを行う必要がないので)であろうし、なにより、そういった生活史が野外に存在するということ自体が驚きと感動に満ちているからだ。


丸山先生、ありがとうございました。