Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

申請書

学振の申請書を書いてもうすぐ1年が経とうとしています。僕があのときに「こうしておけばよかった」と強く思うこと、そして強く心がけたことを書こうと思います。一応、DC1を面接免除で通ったので、これは少なくとも「論外な方法」ではなかった、とおもいます。

やっておいたらよかったこと[1] 業績リストをまとめておく
学会発表、紀要、その他業績に関して、きちんと自分のデータベースを作っておく。発表タイトル、日時、場所、などなど。
これは、自身のウェブサイトなどでまとめておくのがもっとも生産的な形かもしれません。

やっておいたらよかったこと[2] 日頃から、一言で自分の研究のミソを述べる練習をする
申請書の中では、基本的に強調のしかたは自由です。創造性あふれる見せ方は、「自分の研究の一番のポイントを端的に強調する」ことだと思います。「ずばり?」ってやつですね。ここをきちんと普段から考えておけばよかったと思います。これは、口頭・ポスターなどでの研究発表においても重要で、それ以来、僕は発表スタイルがかなり成長したという自覚があります。「30秒でアブストを述べる」のが、自分のなかのポリシーです。

つづいて、やっておいてよかったこと。

やっておいてよかったこと[1] 図表づくりを惜しまない
審査者は、素人です。図表を用いて、視覚的に訴えかけてくる「プレゼンテーション」を心がけましょう。
個人的には、図表や模式図が全てです。ひと目で判る模式図を作りましょう。僕の場合、哺乳類の絵などをココの方法で描き、模式図にペタペタ貼り付けていました。
ただし、審査者がひょっとすると白黒でプリントアウトしてしまうかもしれません。赤とか青とか、色分けしないと識別できない表現も(図表などに用いるのも含めて)避けましょう。

[2] 見やすさ・読みやすさ最優先
文章を書いていると、重要そうな箇所にやたらボールド体を用いたくなりますが、やめましょう。「まず読んで欲しいところ」「にのみ」強調を用いましょう。
ただし、Wordでボールド体を用いるのもやめましょう。文字の輪郭を太くするほうが、文字幅がズレずに見栄えが良いです。Pagesならボールド体対応にのみボールド体化が適用可能ですので、それがいいでしょう。
行間は広めに、そして文字サイズは12ptがいいでしょう。で、実際に12ptとかにすると、だいぶんスペースが狭くなります。11ptでダラダラと書いていいなら、(合格するかは別にして、様式を整えるという点では)簡単なのだと思います。難しいのは、「見やすさ・読みやすさ」に、「informativeness」を加えることでしょう。まあいずれにせよ、僕が審査員なら、ダラダラ書かれているものより、大きな文字でスッキリ書かれているほうを採用したくなります。

[3] 図表を効果的に用いる
繰り返しになりますが、審査員は素人です。ワンボックス(あるいは、ワンセクション)に1図表、くらいの気持ちで、申請書を作りましょう。僕の場合は、記述内容の半分が図表でした。*1ハッキリ言うと、申請書のスペースを考えると、図表にしかほとんど目がいかないと思います。そこは、僕の作戦の1つで、「図を見れば計画がわかる」「図を見れば重要性がわかる」というコンセプトを、貫き続けました。

[4] 書けたら一日寝かせて診てもらう
僕はそれはもう、いろんな人に見せました。(20人くらい?)
まずは研究室の同分野の先輩。別研究室の別分野の先輩。彼らからは、生物学的にも重要なコメントをもらいました。
それを必ずしもすべて反映させる必要はありません。むしろ、どういった人からどういったコメントがきたのか、見極めるのが大事です。

続いて、ロースクールの友達(完全な素人)、数学科の友達(数学的背景に関しては理解あり)、父(医者)や、いきつけの医者に見てもらいました。
彼ら彼女らは、研究内容については完全には理解できないでしょう(なので、図表・イラストを効果的に用いることを徹底していました:[3]参照)。
だからこそ、指摘できる部分があるのでしょう。「意味が伝わりにくい部分」などの指摘、あるいは「ここには壮大な夢を感じた!」などの、素敵な感想をもらいました。

春から書く人はがんばってください!

*1:それは自分が理論家であるがため、余計にいろんな人からみると「わけがわからない」と思われる可能性を憂慮しての対策でした。