Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

論文

論文内で「新奇性」をゴリ押しするのはちょっと、お下品

Novel Insights into Priority Claims:Cell Reporter http://www.cell.com/crosstalk/novel-insights-into-priority-claims 何かと話題になっているこの問題。以前にも、編集長が新奇性を判断してエディターリジェクトするのが良くないという記事 lambtani.h…

何月に論文を投稿すると掲載されやすいのか?

クリスマスホリデーのシーズンになると、ふと考える。 いま投稿してもエディターは対応してくれないのではないか… いま投稿してもレビュアーは対応してくれないのではないか… 投稿数が少ない時期を狙ったほうが、チャンスなのではないか… こんなごく自然な葛…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その7 : Marshall (2011)

Group selection and kin selection: formally equivalent approaches. Marshall (2011) Trends in Ecology and Evolution. Inclusive fitness theory, summarised in Hamilton’s rule, is a dominant explanation for the evolution of social behaviour. A…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その6 : Traulsen(2010)のDiscussion

ここは、本論文が数学的な構造を紹介するという主旨のためか、けっこうあっさりまとめられています。 著者自身は、進化ゲーム理論と包括適応度理論とは、ただの意味論的な違いしかないという疑問にはNOと答えたいということのようです。ネットワーク上での協…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その5 : ペイオフ行列ダイナミクスの補遺

さて、前回書きそこねた補遺です。 「確率\( p_C \) で戦略 \( \mathcal{C} \) をとるタイプ」を協力者、「確率\( p_D \)で戦略\( \mathcal{D} \)をとるタイプ」を裏切り者と呼ぶことにします。戦略ごとのペイオフを行列表示すると です。 戦略\( \mathcal{C…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その4 : Definition and necessity of weak selection.

弱い淘汰の定義と必要性 包括適応度理論*1では連続的な表現型値が仮定されます(量的形質ということ)。その場合、協力者、とは、確率\( p_C \)で協力行動をとる者のこと、裏切り者、とは、それよりも低い確率\( p_D \)でしか協力しない者のこと、と定義され…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その3 : Frequency Dependence

ただいま、神戸に帰ってきております。実家のルーターが壊れていて、しばらくインターネットが出来ていませんでした。 さて、Traulsen (2010) Evolution. の続きです。頻度依存性。 2. Frequency Dependence. 一般の、協力vs裏切りのゲームにおける利得行列…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その2 : Dynamical Sufficiency

Traulsen (2010) Evolution. つづき: なぜか前回途中から、丁寧語が崩れてしまっていました。数式を説明するときは丁寧語にしたほうが(教科書っぽくなく)講師のスタイルっぽくて好きなのですが、どうしたものか。とりあえず、丁寧語で進めます。ただし、…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?

グループ淘汰と血縁淘汰の「等価性」に関する2つの論文 Mathematics of kin- and group-selection: formally equivalent? Arne Traulsen (2010) http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1558-5646.2009.00899.x/full Group selection and kin selecti…

viscousな島モデルではHelpingは進化しにくい

*MathJaxを用いて、数式入力をおこなっています。スマートフォンからの場合、PC版でアクセスしていただくと、きれいな数式をご覧になれます* 集団がviscous「粘着的?」であるとは、生まれたパッチからの移住が100%ではない(必ずしも全員は出て行かない)…