Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

論文内で「新奇性」をゴリ押しするのはちょっと、お下品

Novel Insights into Priority Claims:Cell Reporter

http://www.cell.com/crosstalk/novel-insights-into-priority-claims

何かと話題になっているこの問題。以前にも、編集長が新奇性を判断してエディターリジェクトするのが良くないという記事

lambtani.hatenablog.jp

を書きましたが、今回もそれに関連して。新規性をゴリ押しするのは下品だと思うし、すくなくともCell誌ではどのように捉えられるか。 すこし長いので要点をマトメます*1。ここでは新規性のゴリ押しを"Priority claims"と呼びます。

Priority claims can be unexpectedly false

「新しさ」は、レビュアーや著者らが見落としているだけ、という可能性がある。もしそうなら、既に発見した科学者に対する不敬にほかならない。

Novelty alone is no indication of an interesting advance

新しいからって面白い革新とは限らない。

Conversely, an interesting advance may not be “novel”

逆に、面白い革新が「新規」とも限らない。だって、「同じ発見だけど、別のアプローチで取り組みました」ということもあるでしょ。

Excessive priority claims can look like an attempt to inflate the importance of the work

過度に新規性を強調するのは、研究の重要性を誇張しているかのように見える。

なお、個人的な印象として、「新しい!」ってのを猛プッシュする論文は、不勉強・不精通に概ね基因しているような気がします。それを全世界に発信してどうする?!そしてだいたいは、下品で不格好。やめましょうね。

*1:当該のブログ内では具体例が挙げられていてなかなかに手厳しい