Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

簡単な無限、難しい無限

昔は無限操作が難しかった。大学の無限操作は、濃度や順序も関わる深遠さや、そこらじゅうに落とし穴がある*1ので、尚更である。

研究者として使う数理モデルに現れる数学は、抽象的でなくなったし、決定論的なモデルを扱うことが多くなった。個体数は無限であり、時間経過も準無限小というべきか、連続値をとると仮定する。

すると、有限という確率的なばらつきの大きさを考慮するのが、大変になった。つまり今度は有限が難しくなった。

決定論的な無限性は、有限性からエルゴード的な推論で導かれる期待値の表われである。つまり、対応関係がある。そして、自分が普段から扱う数理モデル、たとえばマルサス増殖式一つ取り上げても、人が世界をどう見るか(平均的なものを見るか、ばらつきを見るか)という意思決定が介在していて、哲学とは絶対に切り離せないのだと感じる。

無限という概念を畏れた日々と、有限に頭を悩ます日々は、意識の中にも対応関係があるのかもしれない。人が世界をどう見るか、という部分はそこでも決まってくる気がする。

しらんけど。

*1:たとえば、σ加法族は、可算無限程度までしか扱えない