Elsevier社が編集を担当するジャーナルを投稿する際には、EES(Elsevier Editorial System)を利用し、オンラインでWordファイルからpdfへのビルドを行なうのが普通です。
当然、pdfビルドというのは、Wordファイルに含まれる文字情報を落とさずに「拡張子をコンバート」する作業ですので、(ただのスクリーンショットとは異なり)内的な変換プロセスが伴います。つまり、内的なエラーがつきものです。
私が経験したエラーは次のようなものです:
EESを用いて、wordファイルをpdfにビルドすると、MathTypeで挿入した一部の数式が消える。
僕の経験上で消えたのは…
- すべてのギリシャ文字。
- 一部の記号(bulletやminus)。
また、MathTypeの根本的エラーも:
埋め込んだ数式が画像形式になってしまって、編集できなくなる
さて、こういうエラーが起こった場合はいつも泣き寝入りし、文章を作りなおしたり、あるいは記号を変更したりしていたのですが、解決策を見出しました。
MS WordにMathTypeで数式を埋め込むなら、.doc形式にする!
まず、画像形式になってしまうのを防ぎましょう。MathTypeのDesignScience社に、こんなノートを見つけました。
Equations have become non-editable “pictures” in Microsoft Word
ここでは解決策が呈示されていますが、そうなる前に、Word2011/2008などの使用は諦め、2004のdoc形式を採用するとよいでしょう。目下、.doc形式で、そのような事態に陥ったことはありません。
MS WordにMathTypeで数式を埋め込むなら、MathType独自のフォントの使用を避ける!
昔、投稿論文の中で、bullet(クロマル)記号を用いていたのですが、Elsevier Editorial Systemを利用してPDFビルドしたところ、bulletが見えなくなるという事態に陥ったことがありました。そして注意してよく見てみると、全てのギリシャ文字も消えているのです。なんどビルドしても、ダメ。これは困った。ということで試行錯誤してみたのです。
その結果、どうして行き着いたのか、この解決策。
ツールバーの「スタイル」→「スタイル設定」で見えるはこのような設定。よく見ると、ギリシャ文字のタイプセットが設定できます。
いまは、ギリシャ/数式フォント:Symbol and MT Extraとなっています。MTとは実は、MathTypeの略なのです。そう、MathTypeは独自のタイプセットを用いていたのです。そこで…
Euclid Symbol and Euclid Extraという設定に変えてやります。全体的に、数式・記号・ギリシャ文字が細く表示されるようになります。可読性は確かに、MTのほうがよさそう。
でも、解決策はじつはこれ。このように設定しておくことで、EESを経由してPDFビルドしたときに、ギリシャ文字が消失するトラブルを回避できます!これ、Design Science社に伝えたのですが、対処されたのかなあ〜。