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Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

移動分散の進化論 生態学会

今年の生態学会の会場は、静岡はグランシップ、静岡駅からひと駅という良アクセス。
二日目に移動分散の進化論という企画集会を開き、発表を行ないました。

もともと、演者の方々には「お一人30分で」という形でお願いしていたのですが、お二方とも45分くらいお話をされ、
僕もそれに聞き行ってしまい、しわ寄せが僕の発表時間に。結局15分程度しゃべり、粕谷先生には3分ほどのコメントを頂戴しました。実にスパっと切れ味するどく。

で、内容ですが、最初の演者の北村俊平さんには、動物による種子散布の、最新の動向をまとめて頂きました。
ちょっと前に、某ロンドンのジャーナルでカメ散布、ナメクジ散布、などの論文がじゃんじゃん出たりしていましたが、けっこうナメクジ散布はウケがよかったとのこと。
確かにインパクトありますね。しかしどこまで重要な効果を与えているのかは気になるところです。
特に驚いたのが、動物がどのようなルートで種子を散布しているのか、GPS?を用いて追跡している点。
数理モデル屋としては、動物の移動をモデリングすることによって種子散布の様子をも数理モデルで表現できればいいなあ、とぼんやり考えていたのですが、
もうランダムにしか思えないように縦横無尽に駆け巡っているようです(たしかげっ歯類による?)。
私はどちらかというとバイオロギングを用いて移動行動を追跡するという実験にあまり興味はない(適応的な意義への考察が不足しがちだから)なんですが、
こういった技術の向上は間違いなく今後の移動分散現象の理解の核心へと迫るきっかけを与えるでしょう。
コストもかかるようですが、チップもどんどん小型化しており、さまざまな分類群で移動現象を追跡できる時代が到来すれば面白いと思いました。

二人目の演者は廣田忠雄さん。動物の移動分散現象にかかる選択圧は単一ではないので、それらを複合的に考慮する必要がある、というメッセージがもっとも強いものでした。
触覚噛み行動や、冷温適応など。あとは、交尾のタイミングも重要だろうという研究も。交尾タイミングは基本的には集団の血縁構造に影響を与えますので、移動分散の進化に強く影響するだろうという研究は過去にもあり(Motro 1982a, 1982b, 1983; Frank 1986; Taylor 1988)ますが、おそらく格子モデル上で解析をしたのは、廣田さんが初めてでしょう。

最後は僕が喋ったのですが、時間が押していた理由もあり、かなりパッキングされた構成になってしまいました。
喋った内容は次の通り:

数理モデルのよい点、悪い点、
・移動分散のモデルの紹介(飛び石、島、連続、進行波閾値)、
・さまざまな選択圧が作用した場合の進化、
・集団構造の解析(WrightのF統計)。

かなりキツキツでしたが、「勉強になった」とのお声や「面白かった」「もっとゆっくり聞きたかった」といった声を頂戴して、本当にありがたく思います。
僕じしんは初めての企画集会でアガりまくりで、どれだけうまく喋られたのかはわかりませんが、
もっとうまく時間管理を行なうことによって、実りある企画集会を次こそは、と誓う次第です。

聞きに来てくださった皆様、ありがとうございました。