Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

Oxfordで学位審査してきた

10/7-13の間、Oxford大学に行き、学位審査の外部委員として仕事をしてきました。初めてのOxford、初めての審査ということで、少し緊張しながら渡航したのですが、かえがたい経験をしました。日記を兼ねて綴っていた内容なので長いですが、ひょっとしたら参考になる部分もあるかもと思い、こうして公開しています。

依頼着弾: 件名“Hi”のeメール

ある日、Stu Westさんからメールが届きました。彼と知り合ったきっかけはこちら:lambtani.hatenablog.jp 現在はOxford大学で進化生物学教授として働いておられ、scientific papers made easyという素晴らしい本を出版したばかり(素晴らしい本です!これを読んでから自分のwritingスタイルが変わったとすら感じます)。2021年には私も、性比の進化に関する一連の理論研究を、共著論文で発表しました。

メールの内容は、学生の“viva”の外部審査員になってくれないかというもの。日本からは遠いし申し訳ないのだが旅費も払うしヨーロッパをタダ旅行する良い機会だと思って検討してくれないか、という話でした。

Viva(ヴァイヴァ)というのは、イギリスの学位審査会議のことで、外部審査員と内部審査員と候補者の三人で、学位論文について徹底的に議論して、候補者に研究内容をdefendさせるというものです。特長は、この三人以外には部屋には入れないこと、そして口頭発表が無いことです。その外部審査員として、私が呼ばれたのです。

メールを読むと、内部審査員はAlan Grafen教授。動物行動学を理論化、つまりformalizeした方です*1。特に、Zahaviの「ハンディキャップ原理」を定式化したという論文*2は、今でも金字塔的研究として高い評価を受けています。ちなみにAlanの日本での評判は、「intenseな人」。正確には全世界共通の評判がそうです。そして本人もそれを知っているし認めています。私や周りも、本人に冗談でintenseだと言いました。ここまで状況証拠が揃っていないとここには書けません。*3そんな方と議論できる機会自体が貴重だとまず思いました。

結局、何人かの人に相談して決意を決め、お話を引き受けることにしました。なぜ戸惑ったかというと、自分がそんな重荷を背負うと思えるだけの矜持がなかったからです。学位を取ったのは7年前で、まだまだぺーぺーッスから自分、という自覚が抜けないのです。しかし、こんなチャンスは人生でもう無いかも、とも思ったのです。引き受けます、と返事すると、相当喜んでもらえました。そうなるともう引き返せません。ほな、やったろやないか。

渡航前の準備

しばらく経って、Oxford大学の事務からメールが届きました。実はその頃、私はコロナにかかっていて数百通ものメールを見落としており、返事がとても遅れてしまいました。同じメールのリマインドで気づき、正式に承諾のサイン(といっても、フォームを送信するのみ)を送り、大学から学位論文と審査のためのガイドラインを受け取りました。

そのガイドラインは書類としてはなかなか分厚く、目を通すのを早々に私は諦めました。しかし幸いにもチェックリストがあったので、まずは事前にやるべきことを確認しました。

  • 学位論文を隈なく読む
  • vivaの日を決める
  • 旅程を決める
  • 飛行機をとる

まあ、あたりまえのことです。書類が分厚いのにはわけがあります。候補者がdefendに失敗したとき(rejectionあるいはmajor revision)に、不服申立てをする権利は当然あるわけで、大学はフェアな判断をするために、さまざまなルールを明文化しておかないといけないわけです。時として訴訟にもなりますからね。大変だけど、理にかなっていることだし、まあ仕方ないねと思いました。

旅程を決めた後

そうこうしているうちに、内部審査員のAlanからメールが届きました。とても優しく丁寧で分かりやすいメールで、「dinnerを一緒に食べよう」ということになりました。そして、vivaのために滞在する期間の、St John's collegeというところの宿を予約してくれました。ちなみに、晩御飯を食べようねという話を、Alanはやりとりするなかで三度の電子メールで、言及してくれていました。後からわかったのですが、Alanはその約束をとても楽しみにしてくれていたそうです。詳しくは後述。

次に、Stuからメールが届きました。Vivaのためだけに来てもらうのは勿体無いから、ラボのメンバーとお話しする機会を作ろう、と言ってくれました。Vivaが終わってからしばらく滞在していいとの事で、New Collegeに残りの滞在期間の宿をとったよと言ってくれました。

Collegeとはなんぞ

さて、二つのcollegeを行き来することになって疑問に思ったのですが、そもそもcollegeとは何でしょうか。これは、Oxfordの特殊なシステムに付随する大学組織のことです。Oxfordは、研究に集中するUniversity of Oxfordと、学部生が学業し生活するcollegeとが合わさった組織になっています。学部大学と大学院大学のようなものなのですが、 collegeごとにいろんな専攻があり、それらは重複しつつ幅広い分野を学ぶことができます。

Collegeには教授がチューターとして在籍していて、色々な相談にも乗ってくれます。その教授たちは大学院にも職を持つのですが、給与は、大学院とcollegeとで分担しているのだそう。Stuは100パーセント大学院から給与が出ていてcollegeでのデューティーは特にはないそうです。学生にとって、大学院にもカレッジにも居場所があるのは良いですね。

旅費

厄介そうなのが旅費。ガイドラインを見てみると、建て替え方式。レート次第で足が出るのは辛いですが、基本的には食事と宿泊費をあわせて一日150ポンドまで面倒をみてくれるそうで、かなり余裕がありました。今のレートで言えば27000円程度。かなりの余裕があります。

さらには、ホストとなる研究者にもお金が出ることになっていて、私をもてなすのに必要になった経費は(身内の飲み代なども含めて)すべて研究費から出るのだそうです。もちろん上限はあるはずですが、これはすごい。人と会ったり話すことは研究においてもっとも重要な機会であることが共通理解になっている。

ただ、経費は実費・立替。そのためレシートをすべてとっておく必要があり、それが少し大変そうでした。とはいえ、(イギリスの研究員としてw)アメリカで働いてた時も同じでしたし、こまめにレシートを撮影しメモを残し、ケースにいれて保管、という方針でなんとかすることに。Alanがことあるごとに「レシートはちゃんととってあるか?」とリマインドしてくれました。

ちなみに、飛行機代は、ノロノロしてるうちに吊り上がってしまい、エコノミーなのに56万円しました。流石に申し訳なくて、StuとAlanに陳謝。しかし「全部払うから問題ないよ!」と言ってくれました。

とにかく、お金の心配はしなくて大丈夫そうでした。ややこしすぎるため、日本国内移動費は、自分の研究費から出すことにしましたが、まあそれは仕方ないと諦めました。また、wifiルーターも日本で研究費を使って借りました。

学位論文を精読する

さて、私は年に20件程度は論文の査読をしますし、論文審査には慣れているのですが、なんせ学位論文は、内容も厚いし大変。全部で200ページ程度の論文を、計画的に四日間にわけて読みました。ラボにもよるとは思いますが、私が審査した学位論文は、イントロと議論に挟まれる形で出版論文がいくつか束ねられていました。今回の候補者は学生として生産性が高く、審査自体は「楽」な方だったと思います。しかし、学位審査というのは、出版されてるからOKということでなく、学生の理解を確かめ、解析の過不足を指摘し、全体の構成を分析し、科学者としての貢献を見る、という作業です。何度も何度も読み返し、気になるポイントをありったけ書き出し、メモとして残し、自分なりの整理を行ないました。

この作業は、非常に自己教育的でした。とてもよく知っている分野に、よく知っている手法について、自分なりに不明確なポイントを抽出するだけでなく、自分が理解していても相手が理解しているかどうかを確かめたいポイントを具体化するのです。ここが、論文査読とはまったく違うポイントでした。What I know is not what you know, and what I do not know is not what you do not know. 当然、相手の理解を確かめるために、基礎的な質問をすることも必要です。

計画的に、しかしそれなりに時間をかけたこともあり、全体を隈なく読んで自分なりの論点は整理できたので、自信を持って空港に向かいました。

Oxford Day 1

朝の飛行機にも無事に乗り、ロンドンで一泊してOxfordへ行くことにしました。ロンドンにはいくつか空港がありますが、今回選んだのは後述のわけあってヒースロー。そして調べてみると、ヒースローからOxfordには直通バスが走っており、それを利用することにしました。

なお、入国審査は自動化されており、とても簡単!行列は長かったのですが、すんなり入国できました。昔はもっと面倒くさかったですよね。日本のパスポートの偉大さには感謝です。

さて、Oxfordには大きなバス駅があり、ヒースローのターミナルでバスのチケットを購入しました。3ヶ月以内なら往復に使える安いオープン・チケットがあったので、それを購入しました。仕組みはよくわかりませんでしたが、TheAirlineという会社が運行するThe National Expressバスを利用し、100分ほどで終点のOxford City Centreまで行きました。

ちなみに、私がロンドンからOxfordへ向かうその日は、アーセナルとマンシティのビッグマッチ。チケットを買って観戦したい気持ちと、パブで観戦したい気持ちと、審査前にコロナ感染リスクを高めたくない気持ちの間をと……れず、大学宿で観ることを決意。しかし、当たり前なのですが、大学の宿の部屋にテレビなどあるわけがありません。また、日本で契約してるスポーツ観戦ストリーミングサービスが外国で視聴できるわけもありません。結局、試合を観るのではなく、部屋でスコアをライブ更新する陳腐な応援となりました。とほほ。とはいえ、アーセナルは実に12試合ぶりにマンシティに勝利!数年間の長い負の歴史に終止符を打ち、幸先良いVivaスタートを切りました。

観光

宿が予約されてあるSt John's collegeまで歩いて行き、受付に行き、チェックインを行う前に荷物を預かってもらうことにしました。予約をどのように伝えたら良いのか分からなかったのですが、自分の名前よりも教授の名前を伝えたら一発でした。「I'm a guest of Professor Alan Grafen.」

チェックイン時間までに、brunchのお店や、自然史博物館、数学研究所に足を運びました。ペンローズタイルも拝むことができました。

Oxfordの数学研究所のThe Andrew Wiles Building。床はペンローズタイルになっている。

それにしても伝統ある建物には圧倒されるばかりでした。そしてOxfordは大学ダウンタウンよろしく、見渡せば学生たち。観光客も多い感じはしました。(珍しいらしく)天気も良かったので、観光は大満足でした。

St John's dinner: “Formal dinner”

Dinnerをとるとは言ったものの、場所はどこかわからないし、きっとAlanほどの方なら素敵な場所に連れて行ってくれるのだろう、ということで、嵩むながらも頑張って持ってきた、シャツ+ジャケット+革靴に着替えました。Alanとは待ち合わせをしていたので、時間通りに場所へ向かうと、ガウンを着たムッシュと遭遇。Alanでした。挨拶を交わし、dinnerに行く前に、ラウンジでゆっくりすることにしました。

このSt John'sのラウンジというのが、コーヒーやフルーツやソフトドリンクが無料提供された静かな場所で、圧倒的な福利厚生の充実を感じます。

ラウンジ。下段にはコカ・コーラなどの種々のソフトドリンク。紅茶・コーヒー・果物・水はいずれもフリー。ただし、ペットボトルでの提供はありません。素晴らしい!

そのラウンジで手渡されたのはシャンパングラス。そして、ガウンを着た知らない数人の方々。うち一人は、St John'sの学長とのことでした。挨拶を交わし、ダイニングホールへ行くことに。そう、レストランというのはSt John'sのレストランのことだったようです。

するとそこは壮観も壮観。ガウンを着た学生たちがびっしり座った、美しいHallでした。そのHallのなかでも敷居が物理的に高いステージのようなテーブルに我々は着席しました。そこはハイテーブルと呼ばれるところで、特別な来賓席なのだそうです。Alanは私にしきりに、学長の隣つまりセンターに座るよう言いました。総選挙も行なっていないのにいいのだろうかと思いつつ、Alanがとにかく丁重にもてなしてくれたので、それを断るのは失礼にあたると思い、自身の場違い感を恥じつつも甘んじて着席。すると学長が裁判官のようにガベル)でテーブルを叩き静粛を知らせ、開会の挨拶を行いました。「携帯電話で話すのはナシ。遅刻した人は入れません。楽しんでください。」そうした宣言がなされ、dinnerが始まりました。

Dinner前の聖歌。

まず時間ピッタリに前菜が通され、赤ワイン・白ワインを堪能しました。学長に話を聞いてみると、このdinnerはどうやら、Formal Hallと呼ばれる会で、ガウンを着たり着飾ったりして、人を招待しながら、dinnerを楽しむ場なのだそう。小綺麗な格好で入ってよかったです。ちなみに私は魚を食べるはずだったのに肉が届き、給仕さんが慌てて戻っていきました。そして給仕さんが、学長に頭を下げていました。ハイテーブルのゲストに失礼を働いてしまった、と落ち込んでいましたが、学長は、気にすることはない、君は素晴らしい仕事をした、と伝えていました。優しす。

そんな楽しいdinnerではAlanと、色々な話をしました。私がRobert MacArthur、William D Hamildon、そしてRonald A Fisherを尊敬していて、数理生物学を始めるうえで多大な影響を受けたということ。指導教官だった巌佐先生との話。Alanの提案した血縁度の解釈法には、「Grafenの秤」という日本語表現が定着していること(これは、とても喜んでいました)。生物学における数学教育の必要性。理論を構築するとはどういうことか。 本当に貴重な時間だったと思います。

夕飯が終わり、ラウンジに戻り、コーヒーを楽しむことに。しかし、私は時差ボケもありしんどさが残っていたので、9時頃にはお暇を頂きました。

ちなみにAlanはこのFormal Hallの美味しい食事が大好きなのだそうです。確かにワインとご飯が信じられないほど美味しかったです。ただ私は、伝統あふれる場に圧倒され、細かい匂いや風味などまでは味わいきれなかった感は否めません!次回に期待。

St John's の客室の残念だったところ

まあ、これはAlanには直接伝えたことなのですが…

  • バリアフリーとは程遠い!何度も急な階段を登らないといけない! 重いキャリーケースを持っていると、階段での持ち運びが地獄。泣いた。
  • 一時間ごとに鐘が鳴る! 夜中でもお構いなく鐘が鳴るので、1時間毎に目が覚めました。ご丁寧にも4時には4度、5時には5度の鐘が鳴るため、夜中に目覚めては時間を自覚させられたのが、時差ボケ野郎にはしんどかったです。多少は耳栓が役に立ったと思います。

Oxford Day 2

内部審査員Alanとの打ち合わせ

Vivaを行う前日、Alanと打ち合わせをすることに。どのようにvivaを進めるかについて話し合っておかないと、候補者にとっても審査員にとってもunhappyな時間になってしまうためです。

ここでもAlanとたくさん話をしました。

  • 内容についての質問が厳しすぎるのは良くない。候補者を次のステージへ送り出すためにencourageする場、というコンセンサスが肝要。
  • 候補者がdefendできる余地を残すことが大事。もちろん、かんたんすぎる質問はだめではあり、generalな質問を行い、候補者の考えを聞く。

そうした一般的議論の後、各章について、自分はこう思った、こういう質問をしようと思う、いやそれはどうだ、ああそれは重要だ、といった議論を、休憩や雑談を挟みつつ、4時間ほど行いました。このように、審査において透明性の三角形とでも言うべき関係を保つことは非常に重要だと私は思いました。このあたりが、論文の査読や、学会発表、そして(私が知る)日本の学位公聴会とは、全く違うところです。その話し合い自体も非常に勉強になりました。

Stuとの散歩

その後は、Stuと待ち合わせをし、8年ぶりの再会。ビッグハグからのスタートです。しばらく歩いて喫茶店Flat whiteをテイクアウトし、Oxfordをキャンパスウォーク。Oxfordについてはもちろん、研究情勢、共通の友人の話も含め、本当に色んな話をしました。

1時間ほど歩いたら、Stuのうちに近づいたということもあり、Stuの家でソファに座ってダベることに。そこにパートナーのAshleighも帰宅し、三人で雑談をしました。Stuの趣味はボードゲームなのですが、「スーツケースにスペースある?」と聞かれたのでイエスと答えると、Gods love dinosaursをくれました。持続可能な生態系サービスを構築・維持することで恐竜を増やしていくゲームです。Stu自身のゲームのレビューはこちら

夕方になると、Stuに山崎の梅酒を託し(これはイギリスでも買えることが発覚し、一人がっくり)、部屋に戻りました。食事をとろうかと思いましたが、あまりにしんどかったので、日本から持ってきたBase Foodのパンを齧って寝てしまいました。

Oxford Day 3

Viva本番前

Viva本番となるとさすがに緊張もするので、事前に尋ねたい内容を再確認しておきました。取りこぼしがあっても、事前に内容をAlanに共有しているので、安心は安心なのですが、自分の言葉で尋ねたいですよね。

なお、St. John's collegeの朝ごはんは、なにやらハリーポッターに強くインスパイアされたもの(いや、たぶん逆だと僕は思う)らしいのですが、私はハリー・ポッターを一話も観たことがないという貴重な人材なのです。しばらくはこの立ち位置はキープしたいものです。

Viva 本番!

さてさて。待ち合わせ時間に行くと少し時間があったので、Alanと、最近のSchur-convexityとmajorizationについて議論しました。生態学・進化学においても必ず重要なクラスの理論になると思うので、その内容を熱意を持って説明しておきました。Vivaの時間になると候補者が登場し、挨拶をかわし、入室。150分の長い議論が始まりました。

準備通り進められていたので、基礎的なものからchallengingな質問まで、準備しておいたものは一通り尋ね、議論もしました。私は英語は学生の頃に練習していたということもあって「普通には話せる」のですが、その経験がとても活きたような気がします。言いたいことをまず日本語で考えて英語に変換するのではなく、最初から英語を話す、というのは、意識的訓練では身につきにくいのかも知れませんが、私は幸いそれはできるので、議論自体はスムーズに進んだと思います。とにかく、「英語を話し、聞き、書く練習」はしておいたほうが良いと思います。ChatGPTは(まだ)、あなたの代わりに話してはくれません。

Viva終了

Vivaが終わると、候補者は出ていき、私とAlanは書類仕事。内容を忘れぬうちにviva報告書を書き、二人でその内容について一文一文同意をとりました。私がサインすれば完了というところまで済ませて、二人でPubへ向かいました。Vivaの後こそPubでしょ!という文化がいかにもBritishでいいなと思いました。私とAlanは先に二人で一杯やっていたのですが、あとからStuたちがやってきました。Stuは、「候補者よりも審査員が先にPubで飲んでるの最高だな!」と笑っていました。

Pubではとにかくたくさん話をしました。打ち上げはいつも最高です。

Oxford Day 4

楽しい打ち上げは私は23:00ごろにお暇したので、無事に起床。その日はちょうどチェックアウトで、New Collegeという別のカレッジに移動しました。今日は、Stuのラボを尋ね、みんなと研究の話をする日です。荷物を預けてNew Collegeから生物学科の建物に急ぎ足で向かっていると、なんと…

修士の頃に同じラボで研究していた友達とバッタリ。なんたる奇跡!! 彼はMedDocを取得したのち、Oxfordに留学していて、渡英10日が経った頃とのこと。喜びのハグを交わし、別の日にお昼ごはんの約束をかわしました。

Stuのラボがあるカレッジに着き、まずはマスターの学生と議論。その後は、お昼ごはんにでかけ、帰ってきてポスドクや博士の学生とも議論。結局、5時間ほど、学生やポスドクたちとずっと議論することができました。夜にはインド料理屋さんへ行き、美味しいご飯を食べました。

StuはそのままNew Collegeまで送ってくれて、そこでもハグを交わし、一旦サヨナラ。viva業務は無事に終わりを迎えたのでした。

(ちなみに翌日は、僕の渡英を噂で聞きつけてくれた人と会って研究議論を交わしたりしながら過ごし、翌々日に飛行機に乗って無事に帰国を果たしました)

大変で楽しかった

このviva審査の経験を一言で述べるなら、とにもかくにも大変で忙しかったです。しかしよく考えると、自分の一連の論文を事細かに読んでもらう機会そのものが貴重で、自分がそんなアカデミック・サービスを提供できたことはとても嬉しかったです。

また、Oxfordの町並み、環境はとても素敵で、歩いているだけでも楽しかったです。共同研究の話もしたし、また来なくてはと思いました。

*1:さて、Maynard Smithがそうなのでは?と思われた方もいると思います。私はその意見には基本的には賛同しませんが、Maynard Smithさんの仕事も重要なものが非常に多かったのは間違いないと思います

*2:https://doi-org.kyoto-u.idm.oclc.org/10.1016/S0022-5193(05)80088-8

*3:しかしそういう冗談を受け入れて笑ってくれる時点で、やはりintenseなscientistと、generousなpersonとは、両立するのだなと思います。