Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

うなぎなき未来

シラスウナギの漁獲高のニュース。これはかなりストライキングというか、ショッキングです。

news.yahoo.co.jp

前年比がこれ…って、もう絶滅の一歩手前まで来ていると言えるのではないでしょうか。 その理由は明確です。持続可能なレベルを越えて、過去の僕らが食べすぎたからです。

僕は、2013年の4月から禁鰻、すなわち鰻絶ちをしています。 僕が日常(と言っても、ぼくは一年に一度、食べるかどうかでしたが)で摂取すること自体が、持続可能なレベルを超越していると自覚したためです。そして、安価な取引で持続不可能なレベルの商売を行なう企業には(少なくとも、鰻を通じては)貢献したくないからです。

正直に言うと、鰻がそこまで好きでもないという理由もあります。ほとんどタレの味じゃないですか…?*1

それでも難しい禁鰻

禁鰻を行なってから現在2018年1月までの半分以上の期間を海外で過ごしているため、神戸の自宅へ戻ると、両親はたいそう喜んで、もてなしてくれます。

特に母は、肉や魚などを用意して、振る舞ってくれるわけです。鰻も例外ではない。母としては喜ぶ僕の顔が見たくて鰻を振る舞うわけですが、僕は食べることを拒むので、母をがっかりさせてしまったこともありました。

こうした僕の行為は時として「空気の読めない」行動になることでしょう。

例えば友人たちとの楽しい飲み会。居酒屋で鰻料理を注文しようという話になった時、僕が「NO」と言ったら?こうした「思想」が「空気」や「同調」よりもプライオリティの低いものとして見なされているのが、残念ながらいまの日本の状態です(過去にはどんな社会もきっとそうだったと思いますので、すこしずつ改善されていけばよいと思います)。社会適合者であることと、社会の現在の全てを受け入れることとは、等号ではないはずです。

鰻は絶滅するか?その根拠:研究者による著書から

漁獲高は必ずしも、潜在的な個体数に比例しているわけではありませんが、鰻の個体数のよい(あるいは、唯一の)指標と言えると思います。それでも、詳しい現状は、なかなか(僕のような研究者でも)簡単にアクセスできる情報として明らかにされていません。

しかしうなぎの保全生態学についての著書

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によると、次の点が指摘されています。

http://d.hatena.ne.jp/shorebird/20170710 より引用)

  • 日本で養殖されているウナギの半分以上が密猟・無報告漁獲・密売を経たものである.これらの違法ウナギは正規のウナギに完全に混ざって流通しており,取扱業者も正規・非正規の区別はできない.
  • 現行の漁獲量規制は全くのザル法で漁獲量削減の効果は期待できない.
  • 養殖場において成長の悪いウナギが選択的に河川に放流されている.
  • 消費量の削減のみによってウナギの保全がなされることは期待できない.劣化した成育場の環境回復が必要である.

問題は深刻です。日常的に口に運ばれるウナギの多くが、「闇ルート」を通じて収穫されたものだということです。

あまりにも残念な現状

規制が行われていない現状は深刻ですが、もっと深刻なのは、人類に対して総合的知見を提供するための機関である大学ですら、その現状を認識・重視していないということです。

一部の大学では、生協のメニューで鰻丼を安価(生協なので当たり前)で提供しているのです。水素水を生協で売っている大学も福岡市の西区にありますが…。

ちなみに、リベラルなアメリカ西海岸でも、鰻への危機感が認識されているわけではありません。

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レイク・タホへの道中に立ち寄った、韓国系スーパーにて。値段を見る勇気が出ず。

なぜそもそも守らねばならないか

ここは議論の筋道が間違いなく別れるところですが、 地球生態系というのは現在の人類だけのものではないのです。地球のあらゆる資源は、将来的に持続的な形で利用されるべきです。 「では、なぜ持続させるべきか?」は、我々よりも若い子どもたちの顔を見てから考えてみてほしいです。

「おとうさんやおかあさんがウナギを食べすぎたからね、もうきみたちはウナギを食べられないんだよ」

「へー!愚かだなぁ!」

さらに、ウナギが滅びた場合、ウナギを餌として利用していた動物たちはどうなるでしょうか?あるいは、ウナギが餌としていた生物たちは増えすぎてしまう。 こうした「生態系のバランス」は、いつ地球に計り知れぬ危機をもたらすでしょうか?

人類史には、リョコウバトやドードーなどが人間の手によって滅ぼされてきたという、恥ずべき過去があります。 次はライオン?サイ?ゾウ?トラ?チーター?動物園にいるあんな動物やこんな動物が、実は絶滅の危機に晒されているのです*2

それだけではありません。花を咲かせる植物、樹木、目にも見えぬような微生物、深海の生物たちも絶滅の危機に晒されている可能性があり、持続可能なレベルを保つことができるのは人類だけです。そして絶滅においやることができるのも。

地球上の生命体はすべて、考えられないような時間のかかった進化という歴史の産物です。いわば地球の、かけがえなき財産そのもののはずです。

「食べるな」とは言えない。…けど…

FBやInstagramでもたま〜に目にする、ウナギを釣った写真、食べている写真、もろもろ。 やっぱりちょっと、いやかなり、悲しい気持ちになります。

乱暴な言葉で言えば「貧すれば鰻を食うべからず」なわけですが、鰻を食べるならそれ相応の対価を払ってほしいと感じるのです。*3

よくある返事❓

  • 「絶滅するの?それなら急いで食べなきゃ!」
  • シラスウナギが絶滅したら、他のウナギをとればいい」

僕はこれには、さすがに言葉を失います。

  • 「ウナギで商売をしている人たちはどうなるんだ!」

どの程度、持続可能な取引をしてきたかが問題なのです。もしもその資源が尽きようとしているのであれば、取引を減らすのは当然のことでしょう。

代替案:ナマズはどうだい?

現実的な代替案だと思います。ナマズは形がグロテスク?もしそうなら、ウナギもけっこうグロテスクの分類に入るのではないかなあ。

portal.nifty.com

めっちゃ美味そう。

おまえ、マグロ食べてるやん!

クロマグロもそろそろヤバいはず。安い消費をやめるべきですね。鉄火丼はもう、食べたくないなあ…うまいけどなあ…

果たして僕はこの一生を、ノン・ベジタリアンとして過ごすことができるでしょうか。

子どもたちに鰻を

僕が一匹の鰻をたべることを我慢することで、僕の子どもが少しでも鰻を食べる可能性が高まるのであれば(いや、高まらなくても)僕は喜んで、鰻を絶ち続けます。いつか子どもを持った時、4年に一度くらいは、鰻を食べさせてあげたいなあ(僕は食べないけど)。

*1:僕はサラダにドレッシングはかけないし、マヨネーズも基本的には使わないし、刺し身も醤油なしで食べること多いし、焼肉にはタレなど絶対につけません。炊き肉のタレについては、強い反発すら覚えます。あれ、肉の味を殺しすぎ!

*2:とくにサイは、その角に媚薬としての効能があるという迷信によって、個体数がどんどん減っていっているようです。もちろん密猟。知性と教育の重要性を痛感させられます。

*3:繰り返すが、ぼくは正当な価格での取引であったとしても、もう購入しない