Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

共同研究の始まり

このツイートには大変同意するところがありました。思うと共同研究の開始はいろいろな形があるのですが、一緒に仕事をしたいと思わない相手とは仕事ができません。もし「あくまで仕事だから」という形で共同研究を始めたとして、どちらかがどちらかを搾取(含 便乗)するという形になってしまいかねません(必ずしもそうなるとは言っていません)。せっかく研究(⊆仕事)をするなら、一緒に働きたい方としたいものですよね。アカデミアは能力主義ではないので。

私は論文数は多くありませんが、過去にどういう形で共同研究を始めたか、書いてみたいと思います。順不同ですが、どのステージで誰に対して共同研究を依頼したかも記録しておきます。指導教員や雇用主は含めません*1。 私は現在研究員(任期付)ですが、その前はポスドク、更にその前は学生でした。

■ 主著論文

メールして学会で議論した(学生→PI)

よくあるパターンだと思いますが、発表を聞いたり論文を読んだりしてから、研究者に話しかけたパターンです。 私はそのとき学生でしたが、そのPIの方はなんと丁寧にも、私の指導教員に、私との共同研究許可のメールを送ってくださいました。 そもそも指導教員とは雇用関係もないとはいえ、指導教員には私を指導する責任があるわけで、そうした了承というか同意があるのは、お互いに安心だと思います。

文献調査および該当箇所の記述を依頼した(ポスドク→学生)

私は理論解析・執筆を担当していましたが、実証研究文献調査について、学生に手伝ってもらったことがあります。共同研究は「手伝う」程度では成立しないので、文献の内容を一緒に議論したり、図をどう見せるかといったことでアイデアをもらったので、最終的に共著論文という形で執筆しました。

外国から日本に呼んで知り合いになり訪ねた(学生→PI)

昔から憧れていた研究者を呼ぶ機会があったので日本に呼んでしまい、その一年後に、その方を尋ねて渡航しました。指導教員のコネが特にあったわけではありませんが、そのときに、呼ぶだけの機会があった点で私はラッキーでした。

研究内容かぶってそうだったので、メールして「一緒にやろ?」ってお願いした(独立研究員→学生+PI)

ふえぇ…いままで頑張ってきたのに…ふえぇ… ってなって寝込んでしまったので、思い切ってメールして一緒に研究しました。

特定のデータを説明するための仮説を理論で定式化してほしいと頼まれた(ポスドク←研究員)

以前から知り合いだった方だったので、広い意味では冒頭のパターンに該当するのだと思います。 しかし、私はポスドクという立場だったのに、こうした依頼を受けてしまっていて、それを許してくれた当時のボスに感謝です。 最終的に、私が定式化・解析・執筆した論文は私を主著として執筆しましたが、共著論文や、同等貢献論文も書きました。

いずれのパターンでも、私は、「一緒に研究したい、と思える人を選んでいる」と言えます。繰り返しますが、アカデミアではみんな高い能力はあるのだから…

■ 共著論文(全部ではない)

SNSを見て、おもろそうな私に特定の計算をしてほしいと頼まれた(研究員←研究員)

SNSでも始まる共同研究!SNSで愚痴垂れてばっかりでなくてよかった。。まあ、コロナ禍だからこそかも。

勉強会を立ち上げて、アイデアを共有した(研究員→研究員)

内部で勉強会を立ち上げて、アイデアを交換したり共有する会を定期的に開き、でてきたアイデアから論文を書きました。 私はあくまで共著者ですが、主著者の方が、アイデアをうまくまとめ、エレガントな論文を書いてくださいました。

SNSを通じてやりとりして、「一緒にやるか!」で始まった(研究員とPI)

コロナ禍にあって、たくさんのウェビナーシリーズができましたが、そのほとんどが、ヨーロッパ時間ベースか、アメリカ時間ベース。仕方ないとはいえ、「太平洋ゾーンは科学をやってないと思われているのか…?diversity/inclusionとは…?」という思いが少しあった中、日本の学会で知り合ったニュージーランドの研究者とやりとりを開始。定期的ミーティングをセットし、共著論文(投稿済)・主著論文(投稿しそう)・グラント(二回蹴られたけど)を書きました。

共著論文を一緒に書いていた方のなかには、私のこれまで関わってくださった方のなかには、能力だけを買ってくれた人もいるかもしれません。でも、そういうスタートを切った共同研究は、私はなかなか続きません。

みなさんはどうやって共同研究を始められましたか?

*1:そもそも指導教員とは一報しか一緒に書いていないのです