Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

国際学会で友達を作る

「国際学会」と言ってもどこで開催されて誰が来てどのように運営されるか次第であるから、なんとも過度に一般化された記事になる可能性は認める。しかし、これまでいろいろな地域で国際学会に参加してきた経験をもとに、どのように国際学会で新たな友達を作り、更には共同研究の発展を目指せるか、考えたことを書いてみたい。

ただし、小さな国際学会にかぎる。大きい学会? 自分は、主体的交流目的では行かない。受動的交流では行かなくもない。

まず前提として、国際学会にはいろいろな人が来る。その場合、国外から来た人は、自分と同じように、文化の違いに直面している。それは、人との交流の様式かもしれない。言葉かもしれない。あるいは、場合によっては分野へのアプローチそのものかもしれない。いずれにせよ、同じくアウェイを経験している。

この事実は、その研究者がシニアかどうか、それとも若手かどうかにも多少は依存する。しかし、アウェイという事実は共通している。アウェイ度合いの差異は程度問題である。差異がどのような分布に従っているのかは不明なので、ここでは質的差異を考える。

そして一番自分が避けたいのは、日本からの研究者で大勢でやってきて、ずっとつるんでしまうパターン。それでは日本にいるのと変わらない。英語も使わない。何をしにきたのかわからない。それならオンライン発表で良い。さらにはそんな(日本語で会話してる)グループに、他の人が参入してくれるはずもない。当たり前だ。むしろ排他的だ。まあもちろん、国外だからこそ、日本からの人と特別な仲になるという可能性もある。楽しさもある。けれど、自分は国外ならではの環境を楽しむために来ているので、日本からの人を避けてしまう傾向にはある気がする。素っ気ないと思われたらすみません。(日本人の知り合いも大事にする。お互い、交流を広げるチャンスを提供し合えることがある。)

国際学会には、国外からくる人のほうが多いこともあるかもしれない。すると、そのアウェイな気持ちが量的マジョリティである(立場的マジョリティは、もちろんホームの人である)。そのアウェイな空間を大多数が共有している以上、人に話しかけない手はない。

大きなグループがすでに形成されている場合。これはもう入り込みようがない。たとえば、ラボのみんなで来ている場合などはそうだろう。それはもう仕方ない。諦めよう。そのうちの誰かを知らない限り、誰とも友達にはなりにくい。

しかし、少数グループ、特に二人グループを形成して飲んでいる人たち。これはチャンスである。なぜ二人なのか?もともと知り合いの可能性もあるだろうが、その場で気まずい思いをしている者同士で形成されたボンドの可能性が高い。自分が一人のときは、そういう人たちに話しかけることが多い。自己紹介をしてから、Have you known each other before? などといって話しかけると良い。

また、私は、国外からのプレナリー講演者にも話しかけることが多い。理由は簡単だ。懇親会や講演後のコーヒータイムで孤立していることもあるからだ。国外かどうかというだけで、割りとそういう状況が生じることは多い。学会は地理的に近いコミュニティにおけるネットワーキング機能もあるため、国外からの人には案外アッサリした態度をとる人も多いのである。それが悪いと言うより、仕方ない部分はあるかもしれない。自分だったら、プレナリー講演者にはそんなアウェイな気持ちを感じてほしくはないが。

ちなみにこれはプレナリーかどうかに依らない。国外からの人は、交流の場で孤立してもおかしくない。

そして、日本からは英語つきの名刺を持っていく。わかりやすい名字だったり名前でもない限り、相手は自分の名前など覚えてくれない(多分)。わかりやすい名前は人数も多いし。ということで、名刺はばらまくと良い。それだけで会話になる。Japanese styleだねと言われたら、「君に私の名前を覚えてほしいからだよ」とか返せばいい。

ということで、(1)二人組を捕まえろ! (2)国外からの(プレナリー)講演者を捕まえろ! (3)名刺を渡せ! というのが、自分の中の「うまくいく」やり方である。それで始まりそうな共同研究や、始まった共同研究もある。友達が増えたら、あとは孤立している人を巻き込んでいけばよい。それが、学会全体の雰囲気づくりにも、きっと繋がるだろう。

終わったら、交流した人にはメールすると良い。返事をしない人もいるが、だいたいがありがとうとメッセージをくれる。そういう小さなつながりを求めて学会に行くのである。そこから始まるチャンスは計り知れない。