どんなコミュニティにも、他の人の悪口を叩くのが好きな人がたいていいる。あるいは、自分ではそれをしないのに、他人のそれを引き出そうとする人もいる。
若い頃、特に学生の頃は(恥ずかしいことに)悪口を多く叩いていたように思う。だが今では、毒舌なモードにこそなる(というか、批判を正当に行なう)ことはあっても、公的な場では悪口は言わないようにしている。それは、悪口は本人に伝わるということと、悪口文化は伝染するから、という理由である。
第三者の悪口を言うもの同士は仲が良い。特に共通の人間が対象の場合、その人を自由に叩けるからだ。それに、悪口を吐き合うことで、お互いの立場が合致する。意見の不一致はない。だって悪口は感想だから。事実誤認や認知の歪みはあり得ても、感情に嘘はない。だから絆を深め合える。これが悪口ネットワークである。
しかし悪口ネットワークは、生産性がない。恨みの増幅はある。そしていつか自分に戻ってくる。ネットワークなので。
だから言いたい。悪口は、公的な場では、言わないほうがいい。誰かのことを悪く言う時、悪もまたあなたに踏み込んでいる、そんな深淵なのである。不当な扱いを受けたとしても、悪口にはしない方が良い。なぜなら、悪口を言う人も、悪人だならである。(善悪の話ではなく、形式的な話をしている。)
あなたの関わるコミュニティが悪口ネットワークである場合、そっと離れたほうがよい。そのことについて悪口を言う人もいるかもしれない。だが、悪口ネットワークは常に対象を変更している。あなたが関わりを絶てば、話題にものぼらなくなる。
悪口ネットワークは何も生まない、駄サイクルなのである。そこで過ごす時間は、もったいない。