Life is Beautiful

主に進化生物学の理論のブログです。不定期更新予定。

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その4 : Definition and necessity of weak selection.

弱い淘汰の定義と必要性 包括適応度理論*1では連続的な表現型値が仮定されます(量的形質ということ)。その場合、協力者、とは、確率\( p_C \)で協力行動をとる者のこと、裏切り者、とは、それよりも低い確率\( p_D \)でしか協力しない者のこと、と定義され…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その3 : Frequency Dependence

ただいま、神戸に帰ってきております。実家のルーターが壊れていて、しばらくインターネットが出来ていませんでした。 さて、Traulsen (2010) Evolution. の続きです。頻度依存性。 2. Frequency Dependence. 一般の、協力vs裏切りのゲームにおける利得行列…

査読の黒歴史

自分が書いた査読レポートって、できてすぐは満足するのに、(他のレビュアーのコメントと比較することによって)後からは黒歴史になりますね…。著者に申し訳なさすら感じる。

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?その2 : Dynamical Sufficiency

Traulsen (2010) Evolution. つづき: なぜか前回途中から、丁寧語が崩れてしまっていました。数式を説明するときは丁寧語にしたほうが(教科書っぽくなく)講師のスタイルっぽくて好きなのですが、どうしたものか。とりあえず、丁寧語で進めます。ただし、…

グループ淘汰と血縁淘汰の形式的な等価性?

グループ淘汰と血縁淘汰の「等価性」に関する2つの論文 Mathematics of kin- and group-selection: formally equivalent? Arne Traulsen (2010) http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1558-5646.2009.00899.x/full Group selection and kin selecti…

ブログ

はてなブログ http://lambtani.hatenablog.jp/ を登録しました。数式が多い論文の解説はブログの方で行おうと思います。いつかは完全引っ越しするかも…。

viscousな島モデルではHelpingは進化しにくい

*MathJaxを用いて、数式入力をおこなっています。スマートフォンからの場合、PC版でアクセスしていただくと、きれいな数式をご覧になれます* 集団がviscous「粘着的?」であるとは、生まれたパッチからの移住が100%ではない(必ずしも全員は出て行かない)…

Viscousな島モデルではhelpingは進化しない

集団がviscous「粘着的?」であるとは、生まれたパッチからの移住が100%ではない(必ずしも全員は出て行かない)ことによって、選択の対象たる相互作用が局所的(=血縁者間で)起こるプロセスを、いいます。viscousな集団においては、helping(コストを払っ…

真・包括適応度理論の「限界」2

しばらく風邪をひいてしまっていました。。今は鼻水がでています。全然関係ないですが、フランスのLotusっていう会社のティシューは相当いいです。鼻をかんでも鼻下が削られません!さて前回のエントリーでは、包括適応度理論に基いて、Nowakたちのモデルス…

真・包括適応度理論の「限界」

昨日、Nowak論文を分析するブログをあげたのですが、この私の解釈 について、少しまとめてみました。 上図で、遺伝子型値を 紫=0 緑=1 黒=2 茶=3 と割り当てて、ハミルトン則を出してみましょう。対応表はこんなかんじ。 なお、gとwとの相関が0でないことは…

包括適応度理論の限界

Allen, Nowak & Wilson (PNAS) Limitations of Inclusive Fitness http://www.pnas.org/content/early/2013/11/22/1317588110.abstractまた包括適応度理論を攻撃する論文が出ていたので、ぼちぼち読んでいました。アブストは下のような感じ。 Until recently…

In memory of Bill Hamilton

Dieter Ebertという著名なホストパラサイトの研究者のウェブサイトに、ハミルトンとの思い出が綴られたページを見つけました。http://www.evolution.unibas.ch/hamilton/index.htmこれほどまでにハミルトンの写真が美しく掲載されたウェブサイトを見たことが…

出版

論文が出版されました。http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0040580913001093と思ったらびっくり仰天。姓名の順序が逆です。急いでエルゼビアに講義し、指導教官にも相談をしました。 結局、チーフエディターとエディターたちに丁重にメール…

繁殖価

Taylor, P.D. (1990) Allele frequency change in a class-structured population, American Naturalist 135, 95-106Fisherが(優生学への傾倒の帰結として)提唱した繁殖価という概念は、テキストで習うぶんにはとても簡単です。 当該の遺伝子は世代を渡っ…

ウェブサイト

ウェブサイトを暫定的に作りました。細かいデザインなどは、微調整が必要です。あと、全体的にもう少しフォントサイズをあげる必要があるかも。http://lambtani.wix.com/lamblamblambtani

読了

Parasite infection and host group size: a meta-analytical review http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23425516寄生者の、個体あたりの感染数(intensity; I)、感染率(prevalence; P)、多様性(richness; R)とをキーパラメータとして、グループサイ…

協力

Rodrigues, A. M. M., and A. Gardner. 2012. Evolution of helping and harming in heterogeneous populations. Evolution 66, 2065-2079.友人の論文です。ヨークで血縁選択の話をしていたら「この手法、好きだ!」といって話しかけてきてくれたのです。北大…

別刷

ようやく、モンペリエにて、power outlet(電源)とwi-fi(フランス語では「ウィーフィ」という)とを提供している喫茶店を発見しました。雰囲気もとてもいいし、週末はここで過ごすことに決定。*** 今日は、とあるパリの研究者に別刷り請求を送りました…

未読

今週・先週にかけてななめ読みした論文。 Plant mating system transitions drive the macroevolution of defense strategies. 植物のもつ誘導防御には、構成的(常に発現)なものと、誘導的(襲われた時にだけ発現)なものとがあり、その遺伝的な基盤の解明…

共同

Robert Triversがこんな本を書いていたのですね。 The folly of fools: The logic of deceit and self-deception in human lifeThe Folly of Fools: The Logic of Deceit and Self-Deception in Human Life作者: Robert Trivers出版社/メーカー: Basic Books…

読了

Rousset F. & Lion S. (2011) Much ado about nothing: Nowak et al.'s charge against inclusive fitness theory. Journal of evolutionary Biology. 24(6): 1386-1392.読んでいます。すごい。。。これはとんでもなく攻撃的な論文で、笑いがこみあげるくら…

読了

Oxford Commaとは "A, B, and C"という書き方を言う。Oxford Commaを用いない書き方は、 "A, B and C"という書き方に相当する。なるほど。 –Lehmann & Rousset (2010) Phil. Trans. Roy. Soc. B 生活史と人口動態は、いかに協力行動を促進するか抑制するか ?…

飲酒

フランスといえばワインです。不法ながら、道端で飲んでいる人もいます。ビンをかついで。だいたいそういう人は目がうつろなのですが。今日は、Odysseumという、モンペリエで最も大きいショッピングセンターに自転車で行きました。 だいたい、ゲストハウスか…

エルゼビアへの投稿とMathType

数理的な論文を書く人、あるいはそうでない人にとっても、数式入力は簡単にできればそれに越したことはありません。 ぼくは普段、わけあってWordを使わざるを得ないのですが、そこへの数式挿入には、MathTypeというソフトウェアを用いています。このソフトの…

エルゼビアでpdfビルドのエラー

出版社エルゼビアは、EES(Elsevier Editorial System)という独特の投稿システムを採用しています。今回、新しく論文を投稿しようと思ったのですが、原稿ファイルや画像を送ろうとしたら、何度もエラーに見舞われて、5時間以上を無駄にしました。 その症状…

先週・今週で読んだ/これから読む論文たち

✓ Evolution of body condition-dependent dispersal in metapopulations (Bonte & de la Pena 2009)✓ Kin selection and natal dispersal in an age-structured population (Ronce, Gandon & Rousset 2000)✓ Analysis of disruptive selection in subdivide…

Symmetry study deemed a fraud

Symmetry study deemed a fraudNature Newsの記事で、ちょっとした話題になっていました。ことの始まりは、Triversが共同研究者と出版した、2005年の論文。 Brown, M. W., et al. (2005) Dance reveals symmetry especially in young men. Nature 438: 1148-…

GWの宿題

ゴールデンウィークは、勉強が捗るので好きです。・Steven A. Frank のNatural Selection Reviews, II~IIIを読む。・Peter D. Taylor の論文を読みあさる。・François Rousset 本をもう一度。・統計力学。さてさて。GW中に査読から返ってきそうで怖いな。

パラサイト・イヴ

パラサイト・イヴ (新潮文庫)作者: 瀬名秀明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/01/30メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 27回この商品を含むブログ (27件) を見る1995年は年明け、阪神大震災や地下鉄サリン事件で揺れる年に書かれた作品です。 当時はおそ…

もやしもん

もやしもん(1) (イブニングKC (106))作者: 石川雅之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/05/23メディア: コミック購入: 16人 クリック: 846回この商品を含むブログ (1112件) を見るめっちゃ面白い!!画風も作調もとても好き。細菌が目に見える主人公と、細菌…